寄席に行ったことがある方なら見たことがあるでしょう。
入り口にはのぼり旗がはためき、看板には墨字で出演者の名前が書かれています。
贔屓の名前を見つければこれからの高座が楽しみになります。
寄席文字で書かれたのぼりを寄席のぼりと言います。
歌舞演劇は元々神に捧げられたもの。のぼりは神霊の依り代を意味していました。
もちろん寄席のぼりは宣伝効果を期待して造られた物でもあります。
寄席文字は寄席ビラ、ビラ字がその起源。ビラ字は一時途絶えかけましたが、
ビラ字の伝統を残すため書体を研究し、独特の寄席文字が完成しました。
集客効果と興行の無事を願ったものです。のぼり旗に書かれた文字は縁起を願ったものであり、
この独特な書体には意味があります。
文字が詰まって見えるのは、お客さんが入るように願っています。
できるだけ隙間をなくし、内へ内へと書くのが特徴です。
文字が右上がりで尻上がりでなのは、興行の無事を願い人気が出るようにという意味があります。
高座に上がる出演者がこれからますます発展し、人気が出るよう願うものです。
寄席のぼりは贔屓の出演者に贈ることができます。ピアノや歌などのコンサートでは花を贈ることがあるでしょう。
花束は出演者への応援と素晴らしい演奏への感謝の気持ちです。
寄席ではのぼりを贈ることで応援の気持ちを表すことができます。
名前が描かれたのぼり旗が贈呈された者は嬉しいもの。
本来ののぼりの長さは5m40cm、今も縁起物として五万円から十万円のものが贈られています。
寄席の前に好きな出演者ののぼり旗を贈って応援しましょう。
これから落語家として活躍する方の大きな励みとなるでしょう。
寄席文字はお客様が入り、興行の無事を願うことから寄席以外でものぼりに描かれています。
長さ5m40cmが本来の大きさですが、1m80cmで製作できるのぼりもあります。
応援する出演者に花束だけではなくのぼりを贈る習慣は日本古来の文化です。
縁起の良い書体によりこれからの活躍を応援すれば、出演者との距離がぐっと近くなるかもしれません。